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カテゴリー「書籍・雑誌」の6件の記事

2011/01/02

正月の空

明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしく御願い申し上げます。

元旦。穏やかな夜明けの空を眺めて、雪の北国

や西の国を想いました。わが住む都会の幸いに

感謝しなければと。

 お雑煮を祝ってくつろいだ後は重ね着のままで

初詣に…。ついそこ、歩いて数分の鎧神社とその

地続きの圓照寺さんへ。大鳥居で礼をし、境内に

入ると、清められた参道に参詣者まばらでした。

さてこれは、年越し寝坊か、地元よりも有名寺社へ

遠出の向きか、拝殿の鈴の音も静けさの中でした。

 お鎧さまの裏へ廻り、江戸期からのお稲荷さま

を拝んで路地伝いに圓照寺さんへ…。

(写真は本殿脇からとお稲荷さん前からの空)

Smidori Smidori_2 小学校の

冬休みで児童達の声もせず、森閑とした小路で

初詣らしい二、三人にすれ違いました。

 圓照寺さん。遠い昔、源氏物語の柏木右衛門佐

頼季が流されてこの地に住み、桜の木を植えたこと

から「柏木」の村名になったといわれ、境内に見事な

桜が三本、「柏木右衛門ゆかりの地」と標してあります。

後世、植え継がれた桜は古木となり、天空いっぱいに

咲いてお墓参りの人々を愉しませています。

(写真は圓照寺本殿の空と庭の風景です)

Smidoriimg_1508 Smidori_3

東京の正月の空、私の町の点描でした。

2010/07/06

読書ナウ!

わたしにとっての本を読む愉しみは単行本にあります。

ケースから取り出し、背文字、題字、装丁、扉、目次…と

眺め、やおら本文へと進みます。章の区切りに挟んだ栞

やリボンの色も、読み返したい題の書体をも含め

て”読む”ことの愉しみを味わうというわけです。

 本を手にする歓びを書店へ足を運ぶことから始めていた

わたしには電子書籍の出現はまるきり驚異そのものです。

ネットで五木寛之さんの『親鸞』上巻が読める。京極夏彦

さんは『死ねばいいのに』を電子書籍で……。その効果で

書店販売の本も良く売れているとか。

(電子書籍ってどうやって読むの?)それが普及しだしたら

読書革命が起こるのでは?

 そんなある日、馴染みの美容室で遭遇しました。隣りの

女性がヘアダイの間、手元のケータイで読んでいたの

ですよ。あれっ、タッチパネルでなにしてるの?

「これってとても便利よ、なんでも出来るよ」といって

渡してくれました。携帯端末機ipad, 彼女が指で

ぴょんぴょんと画面を動かすと、『坊ちゃん』の冒頭

から明朝の活字が鮮明に読めます。指で頁を送り

ながら、すらすら…。「う~ん、綺麗に読めちゃうsign01

 京極夏彦さんの小説、読んでみたい、と思って

ショック、ショック。でも、端末機をすぐに買うのは

ちょっと待ってもいいかしらね、と言うと

「どんどん機能が増えて新しい機種が出るからね」

と、慰めてくれたのは音楽好きの美容師さんでした。

 とにもかくにも電子書籍の実物を経験できたことで

わたしの偏見の一部分は消え去り、電子書籍時代へ

のスタートを意欲する結果となりました。あ~ぁ。

2010/07/03

梅雨・つゆ・読書

南日本は豪雨、東日本は湿舌、この梅雨の鬱は

気持ちを湿らせて果てしなく続くようです。

 それならば考えながら読むことにしよう…私の

本棚には何度も読み返して飽きない新旧の作家の

本があります。幸田文さん、永井龍男さん、山本

健吉さんの随筆、大江健三郎さん、三浦哲郎さん、

の小説など。

 気分に従って時代小説もよく読みます。そして今

読んでいるのは『法隆寺の謎を解く』(武澤秀一著)

かつてこの欄で「インドの塔 日本の塔」の題で載せた

本です。読みながら、唐招提寺の戒壇や薬師寺の塔を

思い出して、旅した風景の印象を懐かしみました。

その時、撮った写真をピクチャからもう一度ここに。

Photo Photo_4

2 Photo_5

(写真上・唐招提寺 戒壇への道と戒壇

 写真下・薬師寺東塔と回廊からの景色)

なお、塔についてはブログ「インドの塔 

日本の塔」を参照してください。

2007/06/04

インドの塔 日本の塔

わたしは歩いたり、立ち止まったりして物や風景を見るのが好きです。
 その時、たとえば、対象に惹かれて、もっと知りたい衝動にかられ
たとき、不思議にその欲求を満たしてくれる人や本に出会えます。
Smidori_10
先だって、奈良へ行ったとき、唐招提寺の戒壇(石造り三段)の
円い宝塔に強く惹かれるものがありました。(穏やかなお椀型をした
石組みの中心の柱はどんな意味なのだろう)そう思いました。その帰途、
薬師寺・境内に建つ東塔(三重塔)を眺め、この塔が千三百年もの歳月、
創建時のままの美しい姿なのはどうしてなのかとも・・・。
 そんなわたしが偶然手にしたのが『法隆寺の謎を解く』(武澤秀一著・
ちくま新書)でした。主題に関しては略させてもらいますが、建築家
である著者には『迷宮のインド紀行』(新潮選書)など、現地を歩き、
調べ、広い視野に起って探究した本があります。塔の由来から法隆寺
の五重塔に至る話は、謎解きの面白さ、楽しさが存分にありました。
☆   ☆
 仏教はインドに生まれ、中国を経て日本へ伝来したのは周知のこと
ですね。話はお釈迦様の遺言から始まります。ブッダは「わたしを
たよってはいけない、とむらってもいけない、修行に励み、これを
完成させよ」と弟子たちを諭したそうです。しかし、ブッダを慕う
人々は涅槃のシンボルとして塔を建て仏舎利(ご遺骨)を納め、祈りを
捧げたことから、塔~伽藍~大乗仏教が興り、広まったのでした。
 インドのサーンチーの仏教遺跡群は紀元前一世紀の創建で、インド
中央を東西に走る山並みの麓の高原にあり、石積みの巨大な半球体
で、それを串刺しにして傘付きの石柱が立っている・・・。
 アンダ(卵)から宇宙が生まれたというインド神話の宇宙観に
依る仏舎利塔の形です。Smidori_8
そして、我が国では・・・? 深く地中に
埋めた仏舎利は心柱となり、空中高く伸びて相輪を持つ塔になり、
卵は相輪の伏鉢に変化したというわけです。
 あ、かいつまんでの記述では、納得いかない不都合も生じますね。
興味を持たれた方は、まず、武澤先生の本をご一読ください。
 まるで無意識に撮っていた塔の写真ですが、上は唐招提寺の戒壇
(インド・サーンチーの塔を模した宝塔)。下は薬師寺・東塔。相輪の
一番下に見えるのが伏鉢です。

2007/03/04

『かくれ里』再読

白洲正子さんの著書の中でも、『かくれ里』を読んだときの
感動は格別でした。昭和46年12月初版。
故・今西錦司氏がラジオで、「日本には風景学というものがあって
もいいね」と言われたのを聞いて、はたと思い当たることがあり、
「自然が語る言葉に耳をかたむける」ことからスタートした里巡り
の随筆が、書きつくせずに近畿地方だけの狭い範囲に終わった・・
とあとがきに記されています。
 Smidori_001_10
ずっと後になって、大和路を旅して、吉野・熊野・葛城・金剛
など、古典の息づく土地に強く惹かれるようになった私にとって
『かくれ里』は比類ない導きの書となりました。
 先年、青葉の頃、吉野の金峯山寺へ詣で、金剛蔵王権現のご開帳
に出会ったとき、役行者の史蹟を実感できたことも忘れられない
思い出です。
 山や渓谷ばかりでなく、現代の暮らしに生きている自然を
教えてくださる先達がもうひとり。ココログ・WOOLHORSEの
shimaさんです。登山家にして発明家。手製の織り機(ばた)で
未知の織物に取り組まれています。ブログでその写真を見て
織りのイメージから足柄山南麓の工房に宗広力三さんをお訪ね
したことを思い出し、コメントに添えました。間違えて国広と
書き込んでしまったのが“後悔先に立たず”。気がかりのまま
長く経ってしまいました。
『かくれ里』の「長滝 白山神社」に、宗広さんと郡上紬のSmidori_004_16

話が述べられ、宗広さんの計らいで長滝へ古面(延命冠者)
を訪ねて行く道中の描写が素晴らしい。郡上八幡生まれの
宗広さんは、戦後、引き揚げ者のために養蚕の村づくりをし、
草木で生糸を染め、手織りつむぎの道を歩まれたのでした。Smidori_006_21

「これがカリヤス、糸を黄色に染めます」と一抱えの
草を見せてくださった宗広さん。織り出される紬の色を
ただ感歎するばかりだったあのとき・・・、いまは故人と
なられた著者白洲さんと宗広さんの交流は、一介の読者の胸を
ときめかせ、自然といのちの貴さを生き生きと伝えてくれます。
~~~~shima様、慌て者の間違いをお許しあれ~~~~ 

 

2006/02/06

正彦さん痛快話

正月は風邪で寝込みました。眠りから覚めると本を読みました。
仰向けで、活字を追うなんて横着ですが、気持ちの薬は良く
利いて、好きな作家の小説を飽きることなく読み返したり・・・。
 そんな中の1冊が藤原正彦著『国家の品格』です。新書版の
この本が驚異的ベストセラーと聞き、えぇ~、数学者のエッセイ
がそんなに読まれるの? と思ったものです。でも、これが結構
面白かったのです。歯切れ良い言葉、分かり易い比喩、速い
テンポの展開・・・するする読めてしまいます。
第2章 「論理」だけでは世界が破綻する
第3章 自由、平等、民主主義を疑う
第4章 「情緒」と「形」の国、日本
第5章 「武士道精神」の復活を
 
・・・と第7章まで続きますが、そもそも講演記録が元なのです。
ところどころ、ユーモア混ぜたり、細君の反論を披露しながらの
語りは良質の講談を聞く感じで、面白く読み終わります。
「情緒」とか「形」を重んじよ、というのは自然に対する繊細な感受性
を大切にせよ、との前提で、日本人の特質ともいえる無常観、惻隠
の情、もののあわれ、を説き進め、四季の移ろいを感じる心を持つ
ことは欧米人にはない感受性だと断じます。smidori_006

 岡潔先生は数学上の発見に関して西洋人はインスピレーション型、
日本人は情緒型といわれ、その情緒とは? と聞かれたときに、
「野に咲く一輪のスミレを美しいと思う心」と答えられたそうです。
 このエピソードに感動したあまり、詳しく紹介したくなった私です。
 正彦先生いうところの「四つの愛」の基本としての情緒については
どうか、本書でゆるりとお読みください。そして、総題の「国家の品格」
を取り戻すためにはまず我々いかになすべきか、を教えてもらうこと
にしませんか。(1月5日読了)