冬至
北半球の太陽の高さが最低になり、昼のいちばん短い日。
古くから身を謹んで冬を乗り越え、春を待つ日。そんな故事
仕来りと言うのではなく「冬至にゃ、柚子、南瓜、蒟蒻よ」と
祖母に教わったものです。
冬至を越せば日がしだいに長くなり、やがて春が訪れる、
即ち「一陽来復」を願って食し、身体を温める湯に浴すると
いう行事として伝承されてきました。
私は銭湯の柚子湯。いつもは日変わりのくすり湯の浴槽に
太陽の色の柚子が浮かび、柚子の香りが立ち込めます。
「良いお湯でした」とフロントのKさんに挨拶して、残照の空
を仰ぎながら坂道を帰ります。
夕餉は、南瓜入りお粥、ふろふき大根の柚子味噌、春雨と
蒟蒻に刻み柚子サラダ、さわら祐庵…。祖母の写真に供えて
ひとり膳に向かいます。
冬至粥の空鍋を洗うとき、この年がどうやら恙なく暮れゆく
ことに安堵して、故人への想いが静かに胸を過ぎります。
若い世代の家庭にも現代風の献立の中に活かして貰いたい
しきたりの一つだと思います。私の冬至、お粗末さま
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