白き花 いとし
古びた建物(集合住宅)を取り囲んでいる植え込みは
四季折々の植物が根を張っており、やすらぎを
与えてくれます。表側の植え込みは柘榴の若緑が
萌え、古株のコデマリがゆさりと風に揺れています。
裏庭の長い植え込みの隅を在所にしてスズランの
小さな白い花が咲き初めました。
鈴蘭=小さい可憐なこの花を待っていました。
5本の八重桜が盛りを過ぎて散り始めると、
緑いっぱい広げた葉影から、細い花茎が
顔を出すのがいとおしい感じです。
数年前はほんの二株三株だったのに、
ぐんぐん根を伸ばして主顔をしています。
朽ち葉の積もる黒い土が気に入り、逞しく
増殖したのでしょうか。
雨の後、とっておきの群落の上にかぶさって
いる枯れ枝などを払ってやり、少しでも長く
咲いていてね、と囁くのです。
「白い花が好き」とは新田次郎先生から最初
にお聞きした言葉でした。若気の至りでそれを
聞き流した私でした。ようやくいま、こころから
「白い花が好き」と言えるようになりました。
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