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2007/03/04

『かくれ里』再読

白洲正子さんの著書の中でも、『かくれ里』を読んだときの
感動は格別でした。昭和46年12月初版。
故・今西錦司氏がラジオで、「日本には風景学というものがあって
もいいね」と言われたのを聞いて、はたと思い当たることがあり、
「自然が語る言葉に耳をかたむける」ことからスタートした里巡り
の随筆が、書きつくせずに近畿地方だけの狭い範囲に終わった・・
とあとがきに記されています。
 Smidori_001_10
ずっと後になって、大和路を旅して、吉野・熊野・葛城・金剛
など、古典の息づく土地に強く惹かれるようになった私にとって
『かくれ里』は比類ない導きの書となりました。
 先年、青葉の頃、吉野の金峯山寺へ詣で、金剛蔵王権現のご開帳
に出会ったとき、役行者の史蹟を実感できたことも忘れられない
思い出です。
 山や渓谷ばかりでなく、現代の暮らしに生きている自然を
教えてくださる先達がもうひとり。ココログ・WOOLHORSEの
shimaさんです。登山家にして発明家。手製の織り機(ばた)で
未知の織物に取り組まれています。ブログでその写真を見て
織りのイメージから足柄山南麓の工房に宗広力三さんをお訪ね
したことを思い出し、コメントに添えました。間違えて国広と
書き込んでしまったのが“後悔先に立たず”。気がかりのまま
長く経ってしまいました。
『かくれ里』の「長滝 白山神社」に、宗広さんと郡上紬のSmidori_004_16

話が述べられ、宗広さんの計らいで長滝へ古面(延命冠者)
を訪ねて行く道中の描写が素晴らしい。郡上八幡生まれの
宗広さんは、戦後、引き揚げ者のために養蚕の村づくりをし、
草木で生糸を染め、手織りつむぎの道を歩まれたのでした。Smidori_006_21

「これがカリヤス、糸を黄色に染めます」と一抱えの
草を見せてくださった宗広さん。織り出される紬の色を
ただ感歎するばかりだったあのとき・・・、いまは故人と
なられた著者白洲さんと宗広さんの交流は、一介の読者の胸を
ときめかせ、自然といのちの貴さを生き生きと伝えてくれます。
~~~~shima様、慌て者の間違いをお許しあれ~~~~ 

 

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コメント

shima様 大峯修験にお出でになるのですか!
もう、びっくり、仰天! 登山家のあなた様の
ことを心配してはいませんけれど、十分にお気
をつけてくださいませ。(ここでは誤解を招く
恐れもありますのでメールさせていただきます。

nekozizouさん
これは!  照れてしまいます。
かくれ里は一度是非読んでみたいですね。

遅ればせ乍、
この6月にマイスターの同級生の紹介で大峰修験に参加します。(1泊2日です)
少しでも役の行者に触れる事が出来れば良いのですが。

zuccaさん、蔵書検索で見つかりましたか。
さ~すが! 感激です。でも、前約4人とは
驚きました(嬉しくて)。あのね、小田急線
鶴川駅からバスで10分のところに”武相荘”
という白洲さん夫妻の旧居があって、いまは
白洲正子さんの記念館。暮らされた頃のまま
遺愛の品々がテーマ分けされ、展示されてい
ます。ご存知と思いますけど、花の頃、訪ね
てみるのも一興です。『かくれ里』と『西行』
は何度読み返しても、いいなぁ!です。

こんばんは~。
「かくれ里」とても素敵な本のようですね。
私も読みたくなって、図書館の「蔵書検索」したら見つかりました。
先約が4人ほどいらっしゃるので、私の手元に届くのはだいぶ先の事かもしれませんが、楽しみ。
素敵な本の紹介 ありがとうございます。

なをさん、ありがとう! この本は白洲さんが
芸術新潮に2年間、連載された旅物語です。
私の本棚の奥の奥にあるくらい古いけれど
綺麗な写真がいっぱい! カバー写真は河内
長野から旧道をポコポコ辿るかくれ里にある
金剛寺(南朝の帝がかくれ住んだ寺)蔵の
「日月山水屏風」です。
すでに絶版になっていると思うので、神田
の古書店街などにお出かけの機会にでも
お訊きくださいな。復刻版の有無を新潮社へ
問い合わせてみますね。

素敵に美しいご本ですね!
いつか手にとってみたいな♪

白洲さまの著書 いつもハードルが高そうで遠慮していました。
このご本なら、絵本のように拝見できそう。
教えてくださってありがとうございます。

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