根津青山の庭

Smidori 「根津青山の茶の湯」展を観て、ロビーから

庭へ出ました。折々の季節、庭をひと巡り

する愉しみは格別でした。そしてこの日、

小春日の陽は中天より注ぎ降り、散策路の

石像をふくよかに照らしています。

さきの展示にあった斑鳩庵のほか三庵がほどよい距離を置く

起伏の路に見頃をやや過ぎた紅葉は茶庭に秋を深めており、

錦繍の梢を見上げて佇んでいると、どこからか小鳥たちが

枝々に来ては移り飛ぶさまはまるで紅葉狩しているようで

した。見慣れた池の汀に小型の屋形舟。これは初めてお目に

かかりましたね。順路を逆のひとり歩きは他の散策者の邪魔

になるのを遠慮してというよりも好きな処に好きなだけ留まり

たいからでした。藤棚の下で話し込んでいる若い女性は

青山の茶道具にゆかしい伝統を偲んだ余韻…なのかしら。

そして、私は、石段脇の石造如来立像に額ずいて紅葉と一緒

に撮らせていただき、心充たされて館を後にしたのでした。

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写真上・うちわ楓 右・草紅葉

   下・石造如来立像

 木漏れ日に

 そよと揺れたる草紅葉

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根津美術館 新創

新装成った根津美術館の特別展 第2部へ行きました。

「根津青山の茶の湯」。根津嘉一郎(1860-1940)の

蒐集した美術品による茶会での道具が、茶会ごとに

展示されています。年の暮れの茶事を好んだという

青山ですが、度ごとの道具の取り合わせに清々しい

人柄が偲ばれ、数百年も昔、名茶人たちに愛された

品々が甦って目前に迫る歓びはひとしおです。

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例えば、床の掛け軸(藤原兼輔像、夕陽山水図)、

歳暮茶会での利休花生(銘・叡山)、雨漏茶碗、

茶杓 銘・大晦日(宗左作)、備前矢筈口水指、

志野茶碗、備前手焙…などなど。

~~茶室の炉の釜に湯はたぎり、熱き椀など

供されてのち、濃茶、薄茶、深めの茶碗にて

ほんわかと暖まる~~亭主の心遣い細部に充ち、

客たち皆々趣向を歓ぶところに”用の美”の極まり

はあるのではないかと私は愚考するのです。

 まるきり素人の身の難しいことはさておいて、

花も人も一代きりの歳月を、遥か時空を経て現に

生きている美術品に会えることの仕合わせを

しみじみ思うひとときでした。    (根津美の紅葉に続きます)

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柿三姉妹

田舎から届いたばかりの新鮮野菜を戴きにアオさん宅へ

行きました。里芋、ねぎ、にんじん、白菜…土の香が鼻を

かすめて、それだけで美味しさがわかるほどです。

「今夜は里芋のおみおつけでいただきま~すsign01」お礼をSmidori

言って抱え込んだお野菜の上に「もうひとつおまけよ」

とアオさんが添えたのは、なんと枝ごとの柿…でした。

 柿好きだった母の写真の前にいつも柿を置いています。

夕食後は半分供え、半分胃袋へ収めます。さて、しかし、

枝についた甘柿三姉妹、艶々しい色合いを見るとこれを捥ぎ

取るのは無粋に思われ、そのまま花入れに挿しました。

「そろそろ賞味つかまつらんか」「いいえ離れ離れには

できないわ」「それじゃ、もう二三日、このままでね」

と、いうようなわけで記念写真を撮りました。

埼玉の田舎の庭の柿の木よ、こんな都会に運ばれて

来て、三つの実は私をこんなに歓ばせてくれたのよ。

見知らぬ田舎の柿の木へ心のなかで礼を言いました

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秋の夕暮れは

蒼い空に生糸の塊のような雲がふわふわと

流れてゆきます。深く大きく深呼吸をして、銀木犀の

香りを吸い込むと、いつもの道を歩き、路地の家の

門口へ出ました。たくさんの花木が冬仕度に入って

いま、庭を飾っているのは杜鵑の花だけです。垣根

からこぼれんばかりに旺盛な花は長く咲きつづけて

旅愁に似た想いを誘ってくれます。正しくはタイワン

ホトトギス。晴れた日の夕暮れはこの花たちの群がり

がことのほか美しく見えます。

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蜀江坂を下って、隣り町の

公園を通り抜け、Kさん(天神湯)の裏庭へ廻ると、

ダリアやビオラ、パンジーの鉢の奥に可愛い実を

つけている鉢があり、近寄って見るとピーマンなの

でした。「こんなところで人にも小鳥にも食べて

貰えないのね、残念ね」後日、Kさんに訊いたところ

貰われて部屋の飾りにされたり、サラダにするという

人もいるそうです。少しも残念じゃなかったのね。

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台風一過

Smidori 台風18号、知多半島に上陸、列島縦断の予報に

眠れぬ夜明けを迎えました。東京は午前9時半頃

小止みとなり、昼前には青空がのぞきました。

あぁ、ほんとによかった。

植え込みのウスギモクセイ(薄黄木犀)が咲き

かけていたのが気がかりでしたが強風に揺さぶられながら

無事でした。こんもり盛りあがった枝いっぱいに開いた花の

香りに包まれて、思わず頬を寄せてうっとりsign01

風の静まるのを待ちながら撮ったつもりが、やはりピンボケ

というしだいです。この木犀は珍しい品種(準絶滅危惧種)

です。昨秋は花数が少なくて、老化現象かしらと話 

し合ったのでしたが、杞憂でした。Smidori_2

敷地入口に秋陽を纏って元気旺盛に咲いているのは

ユッカです。十株全部が花咲いて、白い花の林。

春に負けずに咲き続けた薔薇も降参したようです。

Smidori_3 そんなこんなで台風一過の空

 の碧さを久しぶりに眺めることが

 できました。あぁ、よかったsign01      Smidori_3  

                      

 台風による竜巻、洪水など

広範囲に亘る

 災害地域へ謹んでお見舞いを

 申し上げ、早い復旧を御祈りします。 

  

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アトリエ 秋

神田川河畔に白亜の瀟洒なアトリエが建っています。

26日、27日「秋冬婦人帽子の展示即売会」の催し

に初めて訪ねました。

主はTokiyo Kobayashi。オート・モード研究会を主宰

されています。久々のアトリエでの展示会とあって

大勢のお客で賑わっていました。

アトリエ2階は中央、周囲、窓辺と新作の帽子が

飾られて、波打つばかり…。選び、被ってみる人、

ひと回りする人、笑顔の会釈と譲り合いも混ざって…。  

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カジュアル一点張りの私は大人っぽい薔薇色の

ベレー風のを選びました。被って好きな容に変える

ことが出来て気に入りました。細~いラメの入っている

のも。「派手かしら?」「いいえ、とてもお似合いよsign01

3階でお茶とお菓子のおもてなしを頂いて、川べりの

風景を愉しみ、螺旋階段をゆっくり降りました。

アトリエのウインドウは秋色で纏められてやわらかな

日差しが対岸の建物を映しています。地面から

背伸びするようにコスモスとムラサキシキブ……。

Tokiyoさんの演出です。パリ仕込みの和の演出sign01

お人柄の魅力に重なる審美眼と創造力を垣間見て

歓びはひとしお深くなりました。

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 問い合わせ先 オート・モード研究会

    電話 03-3368-7800  

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秋刀魚!

朝日新聞beランキングに「今年も絶対食べたい秋の味覚」

が載って興味をそそられました。

秋の食材21品からアンケートで3品選んでの集計結果

とあります。

1位=秋刀魚(サンマ) 2位=新米 3位=梨 4位=松茸

 5位=栗 6位=柿 7位=葡萄 8位=キノコ類

9位=サツマイモ 10位=リンゴ……。

 票数から1位の秋刀魚は断トツ。2位の新米を800票

引き離しての”庶民の味”。今年は豊漁で活きの

いい秋刀魚が手ごろ値段で売られています。

 月1回のわが会では、新秋の献立に取り入れました。

献立は「きのこの炊き込みご飯」(しめじ、椎茸、舞茸、

エンリギ、薄揚げ、人参、いんげん、ごぼうなど)

秋刀魚の塩焼き」(一人半身、大根おろし、レモン、おろし

生姜添え)「豆腐とみつばの澄まし汁」「ほうれん草の

ごま和え」「糠づけきゅうり」。梨と巨峰、蜜柑のデザート。

       Photo

お年寄りメンバーが食べやすいように、売り場の達人に

秋刀魚の頭とわたを除いてもらいました。

22名のテーブルではご飯のお代りに大忙しの盛会sign01

みんな喜んで」よかったねwink

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おみこし

わが町の秋祭り。鎧神社大祭年で各町にお旅所

が設けられました。それぞれ御神体を迎え祭り、神輿を

安置して、晴れの日の渡御を待ちます。

創建千百年の伝承を持つ「お鎧様」の祭りは氏子衆

の尊崇で現代に受け継がれて、毎年九月十五、十六日

に行われて来ましたが、ことしは十二、十三、十四日に

なりました。近くの秋祭りに重ならぬための配慮でしょう。

Smidoriimg_1002 写真は最も古い柏睦の

 大神輿、子供神輿      

Smidoriimg_1003                    

   

   

   

表通り、幹線道路に面したお旅所には大中小三基の

神輿が置かれ、人々の瞠目を集めていました。

同じデザイン、精緻な装飾、時代色の醸す崇高さ…。

お世話役さんにこの神輿の由来を訊きました。

「年代物になったねぇ。昭和三十年に揃えたんだよ。

当時、浦安にいた名人が丹精込めての神輿だから

一部の隙もなくおんなじに出来ている。一昨年、祭り

を見に来た息子さんがとても亡き親父のようには

造れないよってね、しんみり話していた」

 根気の要る、入念な仕事師の面影を追いながら

半世紀経った祭りを思い、技の伝承の難しさを

想ったひとときでした。

(12日、子供神輿の渡御はあいにくの雨が小降り

となり、13日、大人神輿の渡御は秋晴れでした)

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挿絵愉しむ

朝日新聞朝刊の連載小説「麗しき花実」が終わりました。

9月9日、最終回の欄を切り抜き、物語の余韻に浸りました。

名手・乙川優三郎さんの描く女主人公、理野が松江から

江戸へ出て、蒔絵師として独り立ちするまでの修業の日々

が細緻に描かれて、読み応えがありました。そしてなによりも

理野さんを取り巻く人々と神田から上野、根岸などの四季の

佇まいを写し出してため息をつくような挿絵を続けてくださった

中一弥画伯に賛辞を捧げたいと思いました。

 毎朝、うっとりと眺めて物語の時代と女の生き方に想いを

馳せました。やがて単行本になるでしょうが、毎回の絵は

連載ゆえの贅沢です。切り抜いて保存という友の話を

よろこんだのは連載始まって間なしの頃でした。

 物語には琳派の継承と変容で有名な酒井抱一や

鈴木其一が登場しました。昨秋、平成館で公開された

「大琳派展」で観た、屏風絵を思い出して、ほのぼの

気分に包まれたのも、ふたりの作者の筆の魅力です。

(写真の挿絵は右上が理野さん、下がしなさん)

Smidori Smidori_2 

朝日新聞より 

              Smidori_3

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底紅の句

朝日新聞のbe版・高橋睦郎さんの「花をひろう」

を読んでいます。季節にちなむ花を井上博道さん

の写真が美しく彩って文章を引き立てて、故事来歴

を親しめるものにしています。

今週は「木槿」(ムクゲ)。韓国の国花ですが、我が国

での名は「あさがお」「きはちす」と呼ばれて、ムクゲと

の表現は俳諧時代からだそうです。Smidoriimg_0993_2

 道のべの木槿は馬に喰われけり     芭蕉

 秋あつき日を追うて咲く木槿かな     蕪村

 木槿垣本所区を野へ出る処        子規

 底紅の咲く隣にもまなむすめ         夜半

底紅木槿は夜半以来、季語として用いられるように

なったと教えられました。

 朝咲いて夕べ萎むいのちながら、初夏から秋へ

絶え間なく咲き続ける粘り強い花種です。

 路地の底紅を愛おしむ私にとって「木槿」の解説は

嬉しく、良い学びになりました。(句は欄より抜粋)

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 写真は向かい家の底紅     

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